|作品紹介
映画:『アメリカン・サイコ』
監督:メアリー・ハロン
脚本:メアリー・ハロン、グィネヴィア・ターナー
1991年に出版されたブレット・イーストン・エリスの同名小説を、メリル・ストリープの娘であるメアリー・ハロン監督が映画化した作品です。
アメリカの金融街で働く若きウォール街のエリート、パトリック・ベイトマンの壮絶な日々を描いたブラックコメディです。
|あらすじ
パトリック・ベイトマンは、ウォール街のトップエリートの一人で、贅沢な生活を送っています。
しかし、彼には裏の顔があります。彼は、人を殺すことに快感を覚えるシリアルキラーでもあります。
彼は、同僚や恋人を次々と殺害していくうちに、自分自身の正気を失っていきます。
|来歴
本作は、クリスチャン・ベイルがパトリック・ベイトマン役を演じ、ジャレッド・レトー、ウィレム・デフォーなどが共演しました。
監督は、当時27歳のメアリー・ハロンが担当し、脚本も共同で手掛けています。映画は、2000年に公開され、世界的な評価を受け、クリスチャン・ベイルの演技も高く評価されました。
お金持ちのモーニングルーティンから始まるんですけど、クリスチャン・ベイルの肉体作りすごい。
|見所
見所は、クリスチャン・ベイルの演技です。彼は、パトリック・ベイトマンの正気を失っていく過程を緻密に表現しており、演技力が光っています。
クリスチャン・ベイルは、本作に出演するために体重を30キロも減らし、役作りに取り組みました。
また、ブラックコメディとしても楽しめる作品であり、人間の欲望や虚栄心、社会における成功や負の側面を皮肉った作品となっています。
彼が周囲の人々を見下し、自分自身を偽装している様子が緻密に表現されており、彼が抱える孤独や虚無感、そして狂気が非常にリアルに描かれています。
特に名刺にこだわるシーンが印象深いでしょうか。彼は自分の名刺を自慢し、相手の名刺を徹底的にチェックすることで相手の社会的地位や優位性を判断しています。
このシーンは、社会的地位や物質的豊かさが人々の人生観や人間関係に与える影響を表しているとも言えます。
パトリック・ベイトマンは、自分自身のアイデンティティを名刺に求めているように見えます。彼が名刺にこだわるのは、社会的地位を示す証拠としての機能だけでなく、自己認識のためにも必要なものであるということが伝わってきます。
名刺を自慢するシーンは秀逸です。
|おわりに
シリアルキラーを描いた映画としては比較的コメディ要素が強く、『サイコ』や『羊たちの沈黙』とは異なる印象を与えます。
ラストシーンは、パトリック・ベイトマンが殺したはずの人物が生きていたことが示唆されます。
このシーンは、物語の真相や現実性に対する疑問を投げかけるものとなっています。
パトリック・ベイトマンが語る「私たちは誰であり、何を求めているのか」という問いかけは、観客に大きなインパクトを与えます。
個人的にはかなり好きですが、暴力シーンやブラックユーモアが苦手な人には向かないかもしれません。
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