|作品紹介
映画:『ホドロフスキーのDUNE』
監督:フランク・パヴィッチ
チリ人映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーが、1980年代に撮影を試みたSF映画『デューン』の裏側を追ったドキュメンタリー作品です。
|あらすじ
フランク・ハーバートの小説『デューン』を映像化するという野心的なプロジェクトに取り組んだホドロフスキーは、モエビウス、H・R・ギーガー、サルバドール・ダリ、マイク・ジェッジらの才能を集め、自分なりの『デューン』を創り上げようとしました。
しかし、資金難やスケジュールの問題、スポンサーの反発などが重なり、映画は製作中止となってしまいます。
それでもホドロフスキーは、撮影の未公開映像や資料、彼自身の回想録をもとに、このプロジェクトの真相を明らかにしようと試みます。
絵コンテのカットはどれも革新的で、ここから影響を受けたSF映画は数知れないですね。
|来歴
アレハンドロ・ホドロフスキーは、数々のカルト的な映画を手がけたチリ人映画監督です。
彼は独自の哲学や宗教的思想を取り入れた映像作品で知られています。
『エル・トポ』や『ホーリー・マウンテン』が代表的な作品です。
|見所
本作は、製作中止となった映画のドキュメンタリーではあるものの、ホドロフスキーの独自の世界観や哲学に触れることができる点が魅力です。
また、未公開映像をはじめとする貴重な資料や、豪華な才能陣が集結したプロジェクトの裏側を知ることができる点も注目です。
例えば、サルバドール・ダリが登場し、映画のセットの一部を設計したことや、当時まだ無名だったH・R・ギーガーやメビウス、クリス・フォスらが映画のデザインに参加したことなどが挙げられます。
ホドロフスキー監督が起用した俳優の候補には、オーソン・ウェルズやグレース・ジョーンズ、デヴィッド・キャラダインなどがいたことも明かされています。
H・R・ギーガーやメビウス、クリス・フォスらは、のちに『エイリアン』のイラストや造形デザインを担当することで広く知られるようになります。
|おわりに
本作は製作中止となった映画の裏側を追ったドキュメンタリー作品ですが、監督の哲学や思想が織り込まれた、印象的な作品となっています。
映画製作における苦難や挑戦を通して、自己表現や自己実現の重要性を伝えるメッセージを持っています。
また、未公開映像や裏話、トリビアも多数含まれており、映画ファンにとっては必見の作品と言えます。
特に、ホドロフスキー監督のファンであれば、彼の思想や哲学を知ることができる貴重な作品となっています。
デヴィッド・リンチの『デューン』に対してかなり酷評でしたから、ホドロフスキーが思い描いていた作品の完成度の高さが窺い知れます。
コメント